赴任先で出会った熊本の女。其の五

◇運命の二筋路◇

その様に大きな肉体的変化が認められる頃には、女将の背筋は仰け反りっぱなしとなり、
豊満な両方の乳房を波打たせ、腰を揺さぶり続けていた。

女将の反応を楽しんで居る内に私のチンポは屹立し、充分にヤル気になっている。
今度からは前戯には、折角東京から持ってきた“三種のバイブ”を駆使する事にしよう。

私は女将の膣口の奥に差し込まれているバイブをズボッと抜き、
女将との付き合いによって急性インポからすっかり回復した我がチンポを、
白濁した液体の纏わり着くバイブと交代し、愛しい女将の膣口の中へと挿入していく・・・。

以下は、行為の終わったそのあと、二人きりの店の中の遣り取りである。
「あたしだって、今まで男の温もりが欲しくなる事はあった。
　だけど、相手が土地の人で噂になったりすると後あと面倒だし、
　貴方の様に期限付きの単身赴任者だったら後腐れなく付き合えると思ってた。
　それに初恋の人にそっくりだったし・・・」

しんみりとそんな事を言う女将。後腐れのない男と女の関係なら、勿論依存はない。
「まあ、先は一年以上あるし、世話をかけるけど仲良く遣って行こう」
そう言う私に、女将は話を続ける。
「死んだ前の亭主もそうだったけど、年下の男に縁があるんだわ」

五年ほど前、交通事故で前の亭主を亡くしたという。
しかし、この女将にその暗さは感じられなかった。
その時に支払われた賠償金などで現在の店を遣るようになり、
亭主の遺産、死亡保険金は、そっくり貯金してあるそうである。

この女将を初め、土地の人はおおらかで、だいたい人がいい。
営業で色々と回ってみて、例え仕事の上でメリットに繋がらなかった時でも、
嫌な思いをさせられた事は無い。それが救いだ。この土地で仕事をしていくには、
自ら土地の人の中に入って行き、じっくりと付き合っていかなければ成らないだろう。
そうすれば自ずと道は開けそうである。“郷に入れば郷に従え”と言う事である。

私の幼い頃に亡くなった父は、元々こっちの菊池郡「現菊池市」の出身であり、
熊本へ単身赴任となった事に深い因縁を感じられずには居られなかった。

赴任地の熊本に来て一年が経ったある休日のこと。
店の奥の部屋に上がり込んでボンヤリと寝転んでいたところ、
買い物から戻って来た女将が私を見るなり、人の顔を覗き込むようにして言った。

「あなた、そろそろ奥さんや娘さんの事が恋しくなって、
　東京に帰りたくてウズウズしてるんじゃなかの」
丁度そう思っていたのであるが、逆の言葉が自然と出てしまった。

「馬鹿を言え、やっとここに慣れて来たというのに」
「だったら、この土地に落ち着いてあたしとこの店やっていこうよ」
「えーっ、だけどなぁ・・・」
「あたしのことが嫌いになったと、それともこの土地がきにいらんとね」
「いや、両方とも好きだ。そうしたいのはやまやまだけどな、
　俺にも今までの仕事や生活の上でのしがらみがあるから、簡単には割り切れないんだよ」

女将の気持も分かる。
そして、当地で女将の居ない生活など考えられ無く成って居た私でもある。
是からこの女と一緒に、今までとは違った人生を歩いて行っても良いかな・・・
等と思ったりもする。

しかし、妻子まで捨てて赴任期限を過ぎても当地に留まる事は・・・
その事は本社に戻って今一度“花を咲かしてみたい”という道をも捨てることである。
それが、私の葛藤と苦悩の始まりとなった。

振り返れば一年と少し前、折から世間では企業のリストラの嵐が吹き荒れていた。
まさかとは思ったものの、入社以来仕事人間だった私も、
管理職の悲哀を味合う事になった。

私が部長をしていた部が社名によって統廃合の対象となり、
私はその役職を解かれたあげく、不振の続く関連会社の建て直しという大義名分を
与えられ、体よく地方に飛ばされたのである。部課統廃合の憂き目に逢い、
会社に居られなくなった管理職も多かった。それを思えば、関連会社に出向という
事で収まった私なんか、まだ良い方だったかもしれない。

リストラと長年連れ添った妻にも冷たくあしらわれて、一時的にしても急性インポに
なっていた私だったが、それがこの土地で女将と出会うことによって見事に回復し、
知らない土地での仕事や生活にも張りが出て来たのであった。

五十を過ぎて先が見えた今、男の人生にとって最後のあがきか、
はたまた出直しの一歩を踏み出すのか。だから、勇気がいる。
此の侭この土地に残り、飲み屋の女将と店をやって一緒に暮らす道、
また今一度東京に戻り、本社で何とか一花咲かせる道・・・
果たして自分はどちらの道を取るのか。

いずれにしろ、あと数ヶ月の間には自分の身の振り方を決めなければ成らないのである。

ＥＮＤ