山室修道女の性愛。其の一
 

人生には長い歳月が経過したがゆえに、やっと重い口が開かれ、
今だから話せる暗い恥ずかしい体験が往々にしてあるものだ。
私が是から記す若い頃の懺悔話を読んで頂きたい。

二十歳前半までは酒と女に飽きるほど溺れる黄金の日々を送っていたが、
二十六歳の時にそのような爛れた生活に疑問を感じて、
ある宗派のカトリック信者となった。
悪に強い者は心入れ替えれば善にも強い。忽ち頭角を現し、二十八歳の頃には
独身男女を束ねる青年婦人部長を勤めるほどに真面目に成っていた。

私は週に一度、ある女子修道院から山室修道女を講師に招き地域の公民館を
会場として聖書学習会を催していた。山室修道女は年齢三十八歳であった。

黒い修道衣に黒いベールを頭からかぶり、修道女にありがちな、固い表情がなく、
潤いのある皮膚を持った美人で、歩くスタイルがモデルみたいで、
会員の人気もとてもよかった。午後七時から八時まで講話があり、八時から九時までは
座談会を行うのである。

送り迎えはすべて私の車を使い、ガソリン代も時間もすべて私個人の奉仕だった。
山室修道女は無給の奉仕活動を続ける好意に対するお礼の意味から、
帰りに時折り私に喫茶店に立ち寄るように命じて、色々と個人的な話や修道院内部の
生活の話などをしてくれるのが私には何ものにもまさる報酬だった。

山室修道女は女子短大を卒業後すぐに母校の仏語講師をしていたフランス人と結婚し、
二人の子供を産んで順風満帆の家庭生活を送って居たのが、彼女が二十八歳の時に
交通事故で夫と二人の子供を一挙に失ってしまったのだった。
彼女はその悲劇による精神的悩みを解決するために修道院に入り、
そして十年たったのであった。

若い頃色々と遊んで世間の裏表や男女関係の機微もわかっていた私は、
案外、話し相手にしても、若い人とは受け答えが一味違う為、
歳上の女である山室修道女に信頼を得ていたのだった。学習会では滅多に語らない
彼女自身のプライベートな話も私にはしてくれた。

私が三十歳のある夏の熱帯夜のこと、予定してた学習会が公民館規定の定員に満たず
使用を断わられ、急遽私のアパートに変更したのである。
とは言うものの男の一人暮らしのアパートはお客、それも若い女性に抜き打ちに
来られては不味い程散らかっていたのである。

「わあっ、中浦くんのアパートってどんなお部屋かなぁ」
「3Kの部屋だよ。きたない。臭い・・・」
「あと一つのKは?」
「えーっと、狭苦しい」
「あらそれじゃSじゃないの」

皆は私とマイカーを持っている会員の車に分乗して私の家に向かった。
「わあっ、クサーィ」
私が玄関のドアを開けるなり、若い女の子たちは無遠慮な第一声を発する。

私のアパートは六畳と四畳半で、あとは二畳の板張りの台所と風呂とトイレに
二畳ほどの板張りの玄関の間である。学習会は六畳の利用しなければならないが、
そこには万年床の布団が敷いたままだ。

台所には前日の夜と今日の朝の二階分の汚れた食器が洗われないままである。
「わっーなによ、この散らかし方は、台所は私に任せて頂戴。エプロンはないの」
「ありません」
「そう、いいわ。なければ・・・。中浦さんは洗濯物を片付けて、早く会場作りをして」

さすがに元は家庭の主婦だった山室修道女は、うろたえる私を尻目にてきぱきと皆に
指示を与えていた。
私は大慌てで布団をしまう。慌てていたから敷布団に汚れたシーツをくっつけたままである。

部屋に紐を張って干してあったトランクスや丸首シャツ、生乾きのカッターシャツを急いで
丸めて隠そうと押入れを空けると、先程慌てて入れて不安定に成っていたらしい布団が
どさっと転げ落ちてきた。

「わっ、お布団よ。臭いっ。男の匂いよ」
「あっ、この、この染みなあに」
「時々、女の子を引っ張り込んで居そうな匂いがするわ」
「この縮れた毛は誰のかしら」
「そういうあなたのじゃないの」

「やだあ、私のこんな茶髪じゃないわ」
「お部屋クサーイ」
公民館での聖書学習会の時はお上品ぶっていた若い女性たちが手伝いもせずに、
赤くなって座布団を差し出す私を見つめていた。
「お茶の準備が出来たから、誰か台所に来て」
ひとしきり騒いでいた若い女性会員は大人しくなり、やがて聖書学習会が始まった。

今日はヨハネ伝十五章だった。山室修道女は涼やかなよく通る声で聖書の一節を
まず朗読する。
1 わたしはまことのぶどうの木であり、わたしの父は農夫です。

2 わたしの枝で実を結ばないものはみな、父がそれを取り除き、実を結ぶものはみな、
もっと多く実を結ぶために、刈り込みをなさいます。

3 あなたがたは、わたしがあなたがたに話したことばによって、もうきよいのです。

4 わたしにとどまりなさい。わたしも、あなたがたの中にとどまります。
枝がぶどうの木についていな ければ、枝だけでは実を結ぶことができません。
同様にあなたがたも、わたしにとどまっていなければ、実を結ぶことはできません。

5 わたしはぶどうの木で、あなたがたは枝です。
人がわたしにとどまり、わたしもその人の中にとどまっているなら、
そういう人は多くの実を結びます。
わたしを離れては、あなたがたは何もすることがで きないからです。

6 だれでも、もしわたしにとどまっていなければ、枝のように投げ捨てられて、
枯れます。人々はそれを寄せ集めて火に投げ込むので、それは燃えてしまいます。

7 あなたがたがわたしにとどまり、わたしのことばがあなたがたにとどまるなら、
何でもあなたがたのほしいものを求めなさい。
そうすれば、あなたがたのためにそれがかなえられます。

8 あなたがたが多くの実を結び、わたしの弟子となることによって、
わたしの父は栄光をお受けになるのです。

9 父がわたしを愛されたように、わたしもあなたがたを愛しました。
 わたしの愛の中にとどまりなさい。
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